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『無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 18』
理不尽な孫の手先生 こぼれ話
ご無沙汰しております。理不尽な孫の手です。
無職転生も十八巻になります。
十八巻。すごいものですよね。よくこんなに書いたなと思います。
これだけ書かせていただけているのも、皆様のお陰です、本当にありがとうございます。
十八巻は、日常的な話の回となります。
ルーデウスが度重なる出張で家を留守にする中、ドロボウ猫が家に上がりこんで、旦那を誘惑してしまうというお話になります。
嘘です。猫の子はドロボウをしていません。
ともあれ、主にリニアとプルセナ、そしてアイシャがメインの話になります。
ネタバレになるので、「本編をもう読んだよ」あるいは「WEBの方を読んだからどうなるか大体知ってるよ」って方はどうぞお読みください。
・リニアとプルセナについて
今回、リニアは奴隷に、プルセナは罪人になります。
ぶっちゃけた話、いや、本当にリニアには悪いと思っているのですが、十三巻の卒業式においてリニアが商人にでもなるって言った時、「こいつ絶対に借金抱えて戻ってくるんだろうな」って思いながら書いていました。
生意気な同級生がなんやかんやあって奴隷になり、主人公がそれを買う。
『小説家になろう』ではありがちな話ですね。
さて、リニアは失敗したわけですが、プルセナはどうかなと考えました。
私はリニアとプルセナの関係性はできる限り対等にしようと考えていました。
口喧嘩をしても勝ったり負けたり、成績もどんぐりの背比べ。
片方は馬鹿だけど、片方は結構賢くて馬鹿に付き合ってあげている、という形にはしたくない。両方馬鹿でいてほしい……。
そうした思いが、今回の悲惨な事件を巻き起こしました。
お亡くなりになられた干し肉様には、深い冥福をお祈りします。
そういう思考で今回の話を書いたわけですが、思うんですよ。
リニアが商売を始めた時、もしプルセナがいたら……。
プルセナが干し肉に手を出さなければならなくなった時、もしリニアがいたら……。
もしかするとお互いがその場にいれば、こんな手酷い失敗はしなかったんじゃないかなって……。
え? ならない? いてもいなくても同じ? むしろもっとひどい結果に?
……まぁ、やっぱり二人は一緒にいてほしいよね、ってことで。
・書き下ろし短編について
今回の書き下ろし短編は、ジュリの話になります。
八巻のこぼれ話にも書きましたが、ジュリは初期の構想にはいないキャラでした。
『怪力の神子』の力で、人形を作れないザノバ。
そんな彼のために技術を叩き込まれ、人形を作るジュリ。
色々あってツーカーな仲になっていく二人なのですが、関係性は主人と奴隷のまま。
ザノバはあの世界の王族なので、奴隷という立場の者に対しては、わきまえた態度をとります。
ジュリもジンジャーから繰り返し「奴隷だから」と教育を受けているので、それ以上の関係になろうとはしていません。
でも、長い年月は二人の仲をより近くさせていきます。
かといって、恋人のような関係になるのかというと、「ちょっと違うな」と感じます。
ジュリの方はともかく、ザノバはジュリがどれだけ好意を向けても、それを真正面から受け入れることはないでしょう。とはいえ、現状の状態がずっと続くわけではなく、今のままで少しずつ二人の関係は変化していくはず。
そんな変化の第一歩として、今回の話を書きました。
私は常々、人間の関係性というのは、言葉では表しにくいものだと思っています。
友達、親友、恋人、夫婦……関係を表す多くの言葉はありますが、友達にもいろんな形の友達がいますし、恋人にもいろんな形の恋人がいますよね。その関係性は、決して一言でまとめてしまえるものではないと、私は思います。
ザノバとジュリは『主人と奴隷』。
だけど、二人だけの特別な関係であることを感じてもらえればなと思います。
では、以上です。
次巻もお楽しみに!
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