令丈ヒロ子 はやみねかおる 篠田真由美 藤野恵美 朝倉かすみ 勝山海百合 小島水青
KADOKAWAの小説投稿サイト『カクヨム』にて、8月1日から31日の一ヶ月間、「カクヨム異聞選集 ~本当にあった怖い話・不思議な体験コンテスト~」と題し、怪談実話を募集するコンテストを開催します。
詳細はこちらでご確認いただけます。
これまで継続してまいりました「幽」文学賞と「幽」怪談実話コンテストは、いったん終了することとなりました。長きにわたる御支援・御愛読に、衷心より御礼を申しあげます。
なお、第10回「幽」文学賞の受賞作品は2016年度に書籍化を予定しております。
第10回「幽」文学賞、第7回「幽」怪談実話コンテストの選考会につきましては、『幽』24号に詳細を掲載しておりますので、ご覧いただけますと幸いです。
今後、また別の形で、怪談文芸の振興に取り組んでまいる所存ですので、何卒よろしくお願い申しあげます。
幽編集長 岸本亜紀
第7回『幽』怪談実話コンテストの選考会が2015年11月5日に行われ、
次のとおり受賞作が決定しました
《大賞》
「古墳の石」「八幡様の踏切」笠原修(かさはら・おさむ)
《優秀賞》
「soul pool」石動さや加(いするぎ・さやか)
「工場に棲むもの」黒咲典(くろさき・つかさ)
「友は還りて夜をゆく」夜馬裕(やまゆう)
《佳作》
「さんどばた忌憚」阿丸まり(あまる・まり)
「家守」九条紀偉(くじょう・きい)
「守護する者」並木由紀(なみき・ゆき)
「帰還」春南灯(はるな・あかり)
《特別賞》
「憑依の人」井川一太郎(いがわ・いちたろう)
第7回『幽』怪談実話コンテスト 最終候補作品(16作品)
「さんどばた忌憚」阿丸まり(あまる・まり)
「憑依の人」井川一太郎(いがわ・いちたろう)
「soul pool」石動さや加(いするぎ・さやか)
「古墳の石」笠原修(かさはら・おさむ)
「八幡様の踏切」笠原修
「幻走」九条紀偉(くじょう・きい)
「家守」九条紀偉
「工場に棲むもの」黒咲典(くろさき・つかさ)
「飢餓トラック」光道進(こうどう・すすむ)
「大阪の夜」ティ・カトウ
「守護する者」並木由紀(なみき・ゆき)
「帰還」春南灯(はるな・あかり)
「姉からのメッセージ」まめもやし
「女子大の保健室」山口明果里(やまぐち・あかり)
「友は還りて夜をゆく」夜馬裕(やまゆう)
「まゆちゃん」山葵(わさび)
(著者名50音順)
選考会の模様は『幽』24号(2015年12月刊行予定)に掲載いたします。
第10回『幽』文学賞長篇部門の最終選考会が2015年11月2日に行われ、
大賞受賞作品は該当作なし、とされました。
以下の作品が奨励賞に選ばれました。
長篇部門 奨励賞 「悪い月が昇る」藤森計(ふじもり・けい)
第10回 『幽』文学賞短篇部門の最終選考会が、同じく2015年11月2日に行われ、
以下が大賞作として選定されました。
短篇部門 大賞 「やみ窓」篠たまき(しの・たまき)
以下の作品が佳作に選ばれました。
短篇部門 佳作 「目出し帽の女」蕎麦田(そばた)
選考会の詳細につきましては、『幽』24号に選考会リポートを掲載予定です。
第10回『幽』文学賞長篇部門の予備選考会が2015年9月14日に行われ、最終選考作品5作が選出されました。最終選考会は11月初旬を予定しています。
「つるべおろし」小川薄暮(おがわ・はくぼ)
「ヤマワタリ」風島ゆう(かぜしま・ゆう)
「沈みゆく獣」久瀬たつや(くぜ・たつや)
「花狩神奇譚(はながりしんきたん)」百日紅沙流(さるすべり・さる)
「悪い月が昇る」藤森計(ふじもり・けい)
(著者名50音順)
第7回『幽』怪談実話コンテストの予備選考会が2015年9月14日に行われ、最終選考作品16作が選出されました。最終選考会は11月初旬を予定しています。
「さんどばた奇譚」阿丸まり(あまる・まり)
「憑依の人」井川一太郎(いがわ・いちたろう)
「soul pool」石動さや加(いするぎ・さやか)
「古墳の石」笠原修(かさはら・おさむ)
「八幡様の踏切」笠原修
「幻走」九条紀偉(くじょう・きい)
「家守」九条紀偉
「工場に棲むもの」黒咲典(くろさき・つかさ)
「飢餓トラック」光道進(こうどう・すすむ)
「大阪の夜」ティ・カトウ
「守護する者」並木由紀(なみき・ゆき)
「帰還」春南灯(はるな・あかり)
「姉からのメッセージ」まめもやし
「女子大の保健室」山口明果里(やまぐち・あかり)
「友は還りて夜をゆく」夜馬裕(やまゆう)
「まゆちゃん」山葵(わさび)
(著者名50音順)
第10回『幽』文学賞短篇部門の予備選考会が2015年7月29日に行われ、最終選考作品10作が選出されました。最終選考会は11月初旬を予定しています。
「迷い寺」雨沢碧(あまざわ・へき)
「チエー二」植木天洋(うえき・てんよう)
「身代わりさる」剣先あやめ(けんざき・あやめ)
「飛童(ひどう)」小北幸弘(こきた・ゆきひろ)
「やみ窓」篠たまき(しの・たまき)
「目出し帽の女」蕎麦田(そばた)
「四十八手で開く」鷹尾東雨(たかお・とうう)
「反抗期」遠山落陽(とおやま・らくよう)
「カサマイの坂」榛原正樹(はいばら・まさき)
「エレベーター」森一鳥(もり・いっちょう
(著者名50音順)
発売前から話題騒然の本書。「幽」の妹雑誌である「Mei(冥)」での連載をまとめた一冊で、東直子さんが「怪談」と向き合って書き、作家の藤谷治氏に、「現代の傑作」と称された著者の新境地。ファンタジーでもミステリーでもSFでも幻想でもない、ジャンルにとどまることのない本作品。著者にインタビューした。
取材・文=門賀美央子 写真=編集部
『晴れ女の耳』東直子
KADOKAWA 1,500円(本体)
東直子 ひがし・なおこ
怖いけれど、どこか懐かしい。
懐かしいけれども、底知れぬ何かが迫ってくる。
東直子さんの新刊『晴れ女の耳』は、これまでにない読み心地を与えてくれる稀有な物語集だ。
「自分の奥に眠っていた、もやもやした誰かの声を書き写したような、そんな気がします」と執筆当時を振り返る東さん。女性のための怪談雑誌『Mei』での執筆を依頼され、まず考えたのは「自分は何を怖いと思うのか」についてだったという。
「その末に辿り着いたのが『和歌山』でした。父の実家が南紀地方の山奥にあったのですが、普段は団地住まいの私にとって、そこは田舎の独特のおかしみと、自然と一体化した根源的な怖さを共に感じさせてくれる場所だったのです」
南紀といえば、世界遺産にも指定されている神秘的な聖地熊野三山があると同時に、黒潮文化の生命力あふれる土地でもある。そして、何よりも印象的なのが、見渡す限り続く山々を覆う、深い太古の森。こうした、陰と陽、文化と自然が融け合って独自の文化を形作る土地で生まれ育った老女たちが、ほぼ全篇に登場する。
「紀州の女性って、長生きの方が多いんです。百歳近くなってもまだまだ達者で、ある日突然、楽に昇天していく。ですが、人生そのものが楽であったわけではありません。むしろ、壮絶ともいえる境遇で暮らした方も少なくない。ですが、悲惨すらおもしろおかしく語るということを女達はずっとやってきたと思うんです。どこからか聞こえてくる彼女たちの話を、口述筆記しているような感じでした」
たとえば、表題作である「晴れ女の耳」で、「私」の耳から出てきた豆粒ほどのおばあさんが語る、彼女が小さくなった理由、そしていついかなる時でも天気を晴れにできる力を持つに至ったエピソードは、あまりに残酷だ。だが、紀州のお国言葉で淡々と語られると、悲劇が悲劇だけではなくなる。
「彼女の人生は、いわば負けっぱなしに人生です。だけど、負けたまま、ぬけぬけと生きている。昔話って、そんな感じが多いじゃないですか。最後は『めでたしめでたし』で終わるけれど、よくよく考えたら全然めでたくないよ! って。おばあさんたちは、どんな悲しい話でもニコニコ笑いながらする。だからこそ、よけいに心にしみてくるんですよね」
とはいえ、怪談雑誌で掲載されていたのだから、ただの「おもしろ悲しい話」では終わらない。
七つの物語の主人公たちは、日常とは地続きのままに突然、異界に引きずり込まれる。
「今回、和歌山を大きなテーマにはしたものの、各話とも書き始めにはどんな結末になるか自分でもわかりませんでした。最初の場面だけを設定して、あとはもう言葉が動くままに書いていきましたね。自分の中に眠っている何かが導き出され、自然と物語になった感じがします。おばあちゃんが子供たちを集めて昔語りをやるのと同じようなことを、私一人で語り手と聞き手を兼ねながらやったようなものでしょうか」
それは、語りの文学にこそ怖さを感じてきた東さんにとっては、自然な成り行きだった。
「民間の口承文芸には、語り手の日常が色濃く反映されてきたと思うのですが、今回の話には私が実際に見聞きしたことを散りばめました。『イボの神様』は私が幼い頃、実際に祖母に教えてもらった神様の話がベースになっていますし、『ことほぎの家』に出てくるおばあさんの『あのころはのう、ようけえ人が死んで、ようもうかってのう』という台詞はある人の口から本当に飛び出した言葉です(笑)。また、神かくしや狸に化かされる話も、父の故郷ではみんな当たり前のようにしていました」
繰り返し現れる土俗的なモティーフ。だが、歌人の感性は、物語に土の匂いを残しつつ、物語全体に軽やかさとモダンな雰囲気を与えている。
「語りの怖さを追いつつも、ただドロドロと暗くするのではなく、最後は抜けがあるようにしたいとは思っていました。読み手にとって、『あそこに何かいるかもしれないよ』と手を引いて導くような、そういう怖さのある物語になっていればいいなと思います」
藤谷治氏による本作品の書評が読める「本の旅人」
https://www.kadokawa.co.jp/mag/tabibito/
http://bookwalker.jp/series/1256/(電子版)
本作品を買う
https://www.kadokawa.co.jp/product/321412000167/
2015/05/10 Sun 東直子×藤谷治
「フィクショネス文学の教室 特別編」
『晴れ女の耳』刊行記念 下北沢B&Bにて開催!(おはやめにどうぞ)
詳細は http://bookandbeer.com/blog/event/20150510_ficciones/
『幽』最新号の特集「ハーン/八雲 Retold」、お愉しみいただけたでしょうか?
没後110年を経てもなお、世界各地で新たな愛読者を生み出している、近代怪談文芸の恩人ラフカディオ・ハーンこと小泉八雲。
その不滅の魂の息づきを、曾孫にあたる小泉凡さん、松江出身の佐野史郎さん、新たな『怪談』翻訳に取り組んでいる円城塔さんほか、現在の八雲リバイバルを担う皆さんに総登場いただいて、お伝えしております。
さて、このほど、神楽坂で毎年開催されている本のイベント「レラドビブリオテック〜猫も歩けば本に中る〜」からお誘いをいただき、『幽』の「ハーン/八雲」特集に関連したお話をさせていただくことになりました。
テーマは「八雲の血脈」 今回の特集を企画した契機のひとつとなった小泉凡さんの好著『怪談四代記』もそうなのですが、八雲の子孫たちは皆それぞれに、八雲の思い出や小泉家にまつわる不思議な出来事を文章に綴り、装幀造本に意匠を凝らした、美しい書物として世に出しました。
今回の講演「八雲の血脈 小泉家のファミリーレジェンドと美しい書物群」では、特集企画者の視点から、小泉家四代に脈々と受け継がれた「八雲の魂」とファミリー・レジェンド、それを体現する書物の数々を、御紹介したいと思います。
下記の公式サイトを御高覧のうえ、ふるっての御来場を、お待ち申しあげております。
なお当日は、『幽』最新号も販売いたします。(東雅夫)
【講演会詳細】http://tokyo-biblio.com/post/107975152612/2-21
小泉八雲の長男・一雄の著書『Re-Echo(谺)』書影
(怪異な石仏を描いた表紙画も著者の自筆)
『ゴーストハント』『十二国記』『鬼談百景』『残穢』に続く、最新小説『営繕かるかや怪異譚』は、出身地である大分県中津市をどこか思わせる町並みが描かれてます。その町に点在する古い建物の周囲で起こる怪奇現象の数々 誰もいないはずの天井から聞こえてくる跫音、雨の日の路地裏に出没する喪服姿の女、押入や冷蔵庫に潜む謎の老人、古い井戸を壊したあとに窓に蠢くもの……そうした恐怖がピークに達したとき、怪異専門の建築探偵ともいうべき“営繕屋かるかやの尾端(オバナ)”がさっそうと現われ、怪異を祓うのでなく、鎮めていく。
讀賣新聞では宮部みゆき氏が書評を、朝日新聞では佐々木敦氏が書評を書いて下さり、各誌紙で絶賛されている本作品が待望の増刷決定です。公式サイトでは、それら書評や推薦文を読むことができる上、カバー絵の漆原友紀さんの絵解きなども。(吸血K)
【営繕かるかや怪異譚 公式サイト】https://www.kadokawa.co.jp/sp/2014/karukaya/
*営繕の意味 建造物の新築と修繕のこと。(三省堂「新明解 国語辞典」第四版より)
一般的には模様替(リフォーム)なども含む。
*かるかやの意味 山野に自生する多年草。葉はイネに似て、秋、ムギの穂に似た小さい花を葉のわきにつける。高さは1.5メートルくらいに達する。(三省堂「新明解 国語辞典」第四版より)
『営繕かるかや怪異譚』
発売日:2014年 12月 03日 定価(税込):1620円 四六判
ISBN 978-4-04-102417-1-C0093 角川書店
https://www.kadokawa.co.jp/book/bk_detail.php?pcd=321408000159
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