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第32回スニーカー大賞


〈前期〉最終選考通過作品

  • 名探偵 天宮月夜の受難高原夢
  • 怪盗少女と冬の境界小林一星
  • 好きな人の好きな人を好きな人村井なお

総評

第32回スニーカー大賞、前期最終選考が終了いたしました。
まず、今回の選考を終えて、編集部として率直にうれしく思っていることがあります。
応募総数そのものは、ここ数年と比較して減少しています。しかし、昨年、一昨年と受賞作を出すことができなかったことを踏まえると、今回の最終選考まで残った作品群は、非常に高いレベルにあったと考えています。

故に、議論も深まります。どの作品も、それぞれに明確な魅力がありました。
「この作品のここが面白い」「この才能はこう伸ばせるのではないか」。
一作一作について、編集部内でもこれまで以上に長い意見交換が行われました。

一次選考後のお知らせでもお伝えしたとおり、今回の選考では、一度選考過程の中で落選と判断された作品についても、別の編集者が改めて読み直すダブルチェックを行いました。その中で再び選考に舞い戻り、最終選考まで残った作品が複数あります。これは、編集者一人ひとりが一作に対してコミットする物量を増やした結果でもあり、編集部として成果を感じられた点です。

同時に、今回の選考を通じて、私たちは改めて考えることになりました。
「スニーカー文庫とは、これからどのようなレーベルであるべきなのか」
そして、
「スニーカー大賞は、これからどのような才能を見出し、世の中へ送り出していくべきなのか」。

スニーカー文庫には、これまで長い歴史の中で培ってきた得意領域があります。
一方で、時代とともに読者が求めるものも、物語のあり方も、作家の可能性も変化しています。
かつてスニーカー文庫が得意としてきたもの。
今のスニーカー文庫だからこそ求めたい才能。
そして、これからのスニーカー文庫が新たに切り拓いていきたい領域。

今回の選考では、そうしたことを意識しながら、一作一作と向き合いました。
もちろん、最終選考に残った作品は、どれも間違いなく面白い作品です。
その中でも、今回最終選考を通過した3作品については、「なぜ、この作品をスニーカー文庫から刊行したいのか」という問いに対して、編集部として明確な答えを持つことができました。

この作品を、こんな形で世に送り出したい。
この作家と、もっと一緒に作品をつくってみたい。
そう編集者自身が強く願うことのできた作品です。

新人賞において大切なのは、ただ完成度の高い作品を選ぶことだけではないと、私たちは考えています。
その作品と、その才能を見つけた編集者が、「この人と、この作品を世の中に届けたい」と本気で思えるかどうか。
今回の選考は、そのことを改めて考える機会にもなりました。

そして、先日をもって第32回スニーカー大賞の後期応募も締め切りとなりました。
今回も数多くの、そして力のこもった作品をご応募いただき、本当にありがとうございます。
これから後期応募作品の選考を進め、今回の前期最終選考通過作品と合わせて、最終的な選考を行います。
第32回スニーカー大賞の受賞作は、2027年4月頃の発表を予定しております。

最後に、次回「第33回スニーカー大賞」についてお知らせがあります。
第33回より、スニーカー大賞はリニューアルを予定しています。
第32回の募集終了から、次回募集まで少し空白の期間が生まれることになります。
しかし、それは私たちが新人賞を止めるための時間ではありません。
作家の皆様から寄せられる挑戦と野心を正面から受け止め、そこにある才能を見出し、作品として世の中へ送り出していく。そのために、スニーカー大賞そのものを、今の時代にふさわしい形へと進化させます。

これまで以上に「ここで勝負したい」と思っていただける新人賞へ。
そして、作家の皆様が「この編集部と一緒に作品をつくりたい」と思っていただける場所へ。
新しく生まれ変わる第33回スニーカー大賞に、どうぞご期待ください。

そしてまずは、第32回スニーカー大賞のこれからの選考を、楽しみにお待ちいただければ幸いです。

スニーカー文庫編集部