


その場所がいやなら逃げてもいいんだよ
逃げることは悪いことじゃない。
29歳の私は、都心の教育熱心なこの町に越してきて5年。5歳になる有君の幼稚園の
送り迎えなど子育てで忙しい。華やかな毎日を綴ったブログを更新して、幼稚園の
他のお母さんから「セレブママ」として憧れの対象として見られているはずだった。
しかし、実際の生活はいい加減で、夫ともすれ違いの毎日。そんななか息子の有君が
行方不明になってしまい・・・・・・。
【ポーチュラカ】
スベリヒユ科 開花期:6月〜10月


これがほんとうに、
おれがのぞんだ家族のカタチなのだろうか。
営業職として忙しい毎日を送るおれは平日はほとんど家で夕食をとることができない。
妻とはギクシャクし、息子の章博との距離は開くばかり。ひとりでさびしく暮らす父親
のもとに通いながら、幼き日に思いを馳せる。そんなある日、妻から両親と同居したいと
言われ・・・・・・。
【サボテン】
サボテン科 開花期:5,6,9,10月


自分のことを何も知らない人のなかで
生活を始めたかった。
築30年の小さな社宅に暮らす私は、自分の娘・風花のことを、心のどこかで普通の
子どもではないのかもしれないと疑ってしまう。勉強も、運動もすべてを上手にこなせる
子どもなんて、どこにもいないことはわかっている。しかし、発達障害だった自分の妹と
娘のことを重ねてしまうのだ・・・・・・。
【ゲンノショウコ】
フクロソウ科 開花期:7月〜10月


僕はちょっとだけ寂しいんだ。
誰かにほんの少しだけ、興味を持ってほしいんだ。
毎週、日曜日の夕食は、妻と娘の藍のために、僕が作ることになっている。平和な休日
しかし、妻が子どものことを考える時間が増えるにつれ、僕への興味が減っていること
を強く感じてしまう。妻はあっという間には母親になった。その姿を目にするたび、
自分のなかの何かが目減りしていくような気がしたが・・・・・・。
【テラリウム】
ヤシ科・サトイモ科など


こうした日々がずっと続いていくのかと思っていた
これからもずっと。
「恋人ができたら結婚しようと思う。その人には、子どももいる。みんなでいっしょに
この家で暮らそう。」高校に合格したばかりの私に、父が宣言した。父とふたりでくらす
私の家に、美子さんと3歳の女の子のひなたちゃんがやってきた。ふたりだけの穏やかな
朝は、もう永遠に来ないのだろうか・・・・・・。
【サンカヨウ】
メギ科 開花期:5月〜7月