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『無職転生 ~蛇足編~ 1』
理不尽な孫の手先生 こぼれ話
どうも、お久しぶりです。理不尽な孫の手です。
無職転生が二十六巻で完結ということで、様々な方面の方々にお祝いのメッセージをいただきましたが、もうちょっとだけ続くんじゃよ、ということで無職転生の蛇足編を出させていただくことになりました。
WEB版を既読の方はご存じかと思いますが、蛇足編は本編終了後のお話を短編としてまとめたものとなっております。今回収録されているのはノルンが結婚する話、ルーシーが結婚しない話、イゾルテが結婚する話の三本と、さらに書籍版の加筆として、ギレーヌが結婚しない話を追加いたしましたので、楽しんでいただければ幸いです。
無職転生もスペシャルブックを含めてこれで二十八冊目となります。
これも読者の皆様のお陰です。
本当にありがとうございました。
さて、本編のこぼれ話ではキャラクターの創作秘話的な話をしていましたが、こぼれ話に関しては新キャラもいませんので、各話を今の私から見た感想や思い出話など書いていこうと思います。
・「ノルンの嫁入り」
WEB版での章タイトルは『ウェディング・オブ・ノルン』。
ノルンが結婚する話ですね。蛇足編は本編に登場した各キャラクターのその後、あるいは『結末』を書くべきだという意識があったため、この話は絶対に最初に書こうと思っていました。
気になるお相手は……というところなのですが、これはかなり昔から決まっていました。
問題はその二人をどうくっつけるかという部分に関してですが、ノルン側の方はさておき、ルイジェルド側の方は理由付けが甘かったかなという気もしますね。
ただ、スペルド族という異種族、ルイジェルドという特異な人物の生き方を考えると、多少突飛であっても納得感はあるかなと考え、しかしながらそれを長々と説明すると言い訳くさくなってしまうかなと考え、「俺はノルンに懸想している」という一言にまとめました。ルイジェルド側の色んな思いが籠った一言です。
あとは相手が誰であれ、一番書くべきはルーデウスの行動や想いですので、そちらを重点的に書くことで、いい感じにまとまったかなと思います。
蛇足編の一発目にしてはよく書けたのではないでしょうか。
・「ルーシーの入学初日」
WEB版の章タイトルは『ルーシーとパパ』。
ルーシーが学校に通い始める話ですね。蛇足編で書くべきはその後の話であり、ルーデウスのその後の話といえばやはり子育てがピンときますよね……ということで、この話を書きました。
基本的にルーデウスの前世に子育ての経験はなく、嫁が三人もいるため積極的に育児に参加せずとも家庭はまわり、仕事が忙しくて関わる機会も少なく……という所から、ルーデウスの理想とするパパ像とルーシーの理想とするパパ像に齟齬が生まれいく。この話は、その象徴的なエピソード……なのだけど、そういった齟齬は一度や二度の決定的な話ではなく、ほっこりと穏やかなエピソードの積み重ねの中に生まれるものだと思い、こうした話にしました。
うまいこと隠せてたんじゃないかなと思います。
・「イゾルテとドーガ」
WEB版の章タイトルは『アスラ七騎士物語』。
無職転生では、基本的なルールとして「ルーデウスと関係のない話は書かない」としていたのですが、蛇足編では別にいいだろうということで、ルーデウスと関係の薄い二人に焦点を当てました。
イメージ的には美女と野獣ですが、美女側をちょっと下げないと野獣と釣り合わないのではと思い、イゾルテを婚活でえり好みする、ちょっと嫌な感じの女という設定にしましたが、後に書いたドーガが思いの他好感の持てる男だったせいか、この話を読んだ亡き母が「この女にドーガはもったいねぇ」と言っていたのが思い出深いです。
とはいえ、個人的にはうまい具合にバランスを取れたのではないかなと思っています。
アスラ七騎士物語と言いますが、七人全員を掘り下げられてはいないので、いずれ書きたいと思いつつ、しかし「やっぱり無職転生ではあんまりルーデウスに関わりの無い人たちの話はすべきではないな」とも思うので、難しそうですね。
今後は伝承でのみ語られる存在になっていきそうです。
こうして見返してみると、当時は無職転生を書き終えたばかりで、疲労気味ではありますがエンジンも温まっており、自画自賛になりますが一話一話が全部面白いですね。
では、蛇足編の二巻でまたお会いしましょう。
ありがとうございました。
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