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『無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 26』
理不尽な孫の手先生 こぼれ話
最終巻、発売でございます。
ここまで出させていただいたのは、皆様のお陰です。本当にありがとうございます。
最終巻では、少々加筆したり、話数の掲載順を変えたりしていますが、基本的にはWEB版の読み味をそのままにしたかったので、大幅な改変は加えておりません。
生の無職転生の最終話をお楽しみください。
それにしても、ようやく最終巻ですね。
書籍として一巻を出したのが二〇一四年の一月末なので、ほぼ九年の歳月、書籍を出し続けたことになります。
無職転生を書き始めたのが、この本が出るちょうど十年前。
私はもうずっと無職転生に関わり続けていたので、十年と言われてもピンときませんが、幼稚園児が小学校を卒業したり、中学生が大学を卒業して社会人になっていてもおかしくないような長さです。
本当にひと昔前になってしまいました。
その間、私にも色々あったはずなのにあまり思い出せませんが、当時とまったく同じ考え方をしてはいないし、友達も増えましたし、以前より慎重になったり、後先を考えるようになったり……逆に自暴自棄になっているところもあるので、やはり色々あったのでしょう。
こうして昔のことを書いていて思い出すのは、書籍化打診がきた時のことです。
無職転生には当時、三社から書籍化の話がありました。
その三社の中で、唯一わざわざ名古屋まで来てくれたのが、MFブックスさんでした。
それだけが理由でMFブックスにしたのか、ちょっと早計だったんじゃないのか? と思われる方もいるかもしれませんが、当時のなろう界隈では、その三社はどれも同じぐらいだと言われていたので、正直どこでもよかったのです。なんだったら、出版しないという選択肢すらありました。(当時は仕事もなく、親のスネをかじるニート状態だったので、あまりその選択肢は選びたくありませんでしたが)
ていうか、他の二社はわざわざ名古屋くんだりまでは来てはくれなかったので、それだけで十分だったわけですよ。
MFブックスさんは、わざわざ編集長と、後の社長と、編集Tの三人で来てくれました。
その時編集長が「本気出してみませんか?」とおっしゃったのも、よく憶えています。
対する私は「まだ自信がないので、六章を書き終えるまで待ってください」って感じでしたが。
この巻までお読みになられた読者の方々は知ってると思いますが、六章でエリスと別れて、その後の話の雰囲気もガラリと変える予定だったので、「そこで今ほどの人気はなくなる可能性があるよ」という意味合いの返答でしたが、今思うとあんまり意味がなかったですね。
で、無事に六章まで投稿し終わり、筆も止まる様子もなかったので、書籍化となったわけです。
なので、書籍を出し始めた時も「六巻までは出版したい」と思っていました。
六巻は、ルーデウスとエリスの旅の終わり。少年期の終わりの話です。
あそこまで書かないと区切りがつかないから、せめてあそこまでは出させて欲しい、みたいなことを当時の編集Tに言った覚えがあります。
編集Tの返事としては「そんな心配しなくてもそこまではいけますよ」という感じでしたが……。
で、実際そこから小説家になろう書籍化ブーム的なものも起こったり、一巻が出る前に累計一位になったりするなどしたことも後押ししてか、六巻まであっさり出せて、その頃にはWEB版が完結し、「WEB版の更新を急がなくてもよくなったから、七巻は書きおろしちゃうぞー」って感じで書きおろしで七巻を出し、「次の目標は13章(12巻)だ!」ってなる頃には「もう最終巻まで出せそうです」みたいなことを言われ……その後、アニメ化の話が立ち上がったり消えたりまた立ち上がって一喜一憂したり、実際にアニメ化企画が進行し始めると、刊行もそれに合わせないとねって感じで刊行ペースがゆっくりになったり、その代わり様々な監修の仕事が山のように増え、それに伴って私の執筆スピードも緩やかになっていったりはしたのですが……。
ともあれ、続刊が出るか出ないかという部分について、あまり不安にならずにここまでこれました。
それは、それだけ長い間、皆様にご愛読いただけたお陰かなと思います。
私からすると目に見えない部分なので、ついつい自分の手柄のように感じてしまう時もありますが、私は売るための努力はほとんどしていません。だから最終巻まで出せたのは、無職転生をよい本に仕上げようとしてくれた編集部や、無職転生を買い支え、盛り上げようとしてくれた読者の方々がいた結果だと思っています。
本当に、感謝しています。
長い間。お疲れ様でした。
ありがとうございました。
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