
アンケートにご協力いただきありがとうございました!
『無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 24』
理不尽な孫の手先生書き下ろしこぼれ話
二十四巻発売でございます。
ここまで出させていただいたのは、皆様のお陰です。本当にありがとうございます。
この巻が発売される頃には、アニメ化ももうすぐということで、皆様ワクワクしているところかと思いますが、本巻も楽しんでいただければ幸いです。
さて、二十四巻はいよいよ決戦編ということで、最後戦の緒戦となっております。
出てくるはヒトガミ第一の使徒。戦う相手は僕らのルーデウスです。。
とはいえこの話、WEB版では、わりとあっさりとした展開で、少々不評ではありました。
せっかくの敵なのにあっさり倒されすぎじゃね? と。
個人的にはJOJO五部のノトーリアス・B・I・Gみたいな感じで読んでもらえればと思ったのですが、まぁ中々うまくいかないものですね。
そういった経緯から、もし書き足すのであれば、このあたりになるかな、と思っていた部分でもあります。
加筆部分は結構面白く書けたかなと思いますので、楽しんでいただけると幸いです。
今回のこぼれ話では、ビタとの戦いでルーデウスが見た夢について語っていこうかと思います。
前回のこぼれ話で書いたIFの話の同類になるのですが、ビタが見せてきたルーデウスの夢は、ありえたかもしれないIFの世界のものになります。
ビタは寄生した相手に心地よい夢を見せて一生夢から出られなくし、その間に自分がその人物に成り代わる、という戦法を得意としています。
この術は長く生きている人物にこそよく効いて、特に人生でチャンス、あるいは失敗が多かった者に対しての効果は劇的です。
さらに、今現在愛する人や物の存在を忘れさせることで、その術を強化させています。
ルーデウスに対しては、まさに特攻といえるでしょう。
あそこでああしていれば、あの頃にもしこうだったら、今と違う人生になっていたかも。
そしてその人生は、今の人生よりも幸せなものだったかも。
そんな気持ちが術を強くしていくわけです。
逆にエリスみたいに真っ直ぐ生きてきた人物には効きにくいですね。
取っ掛かりは数箇所あるかと思いますが、エリスは今が一番良いと思っているので、自力で抜け出してしまう可能性が高いです。
他のキャラだと、シルフィは効きにくく、ロキシーは効きやすいでしょうね。
ノルンは効きやすく、アイシャは効きにくい。
人生で迷った経験が、そのまま術からの抜けにくさに関わっていく感じです。
ルーデウスは迷いの多い人間かつ性欲が強いということで、概ね『もし妻がこの人だったら』というIFが多くなり、WEB版ではそこだけを攻めていく感じでした。
しかしながら、今回加筆するに当たってよくよく考えてみると、もしIFの人生を書くのであれば、ルーデウスが深層で最も気にかけていることを題材にするのが良いんじゃね? と思い至りました。
つまり「この人生がいい、もし夢でもかまわない」ではなく「もし夢でも、今見ているこの光景を壊すことはできない」とした方が、逡巡が強いはずだ、という考えですね。
だから加筆部分は今回のような話となりました。
ルーデウスにとって、妻や子供達はもちろん大事ですが、それ以上に両親に対する後悔や後ろめたさみたいなものが強く残っているはずだ、と。
最初は、前世の家族でこれをやろうかとも思いましたが、ここで前世の家族に対してルーデウスが謝罪して受け入れてもらったり、けじめをつけてしまうと、ナナホシに渡した手紙の意味がなくなってしまうので、ボツとしました。
ボツパターンは、頭の部分だけ店舗特典として載せたので、読める機会のある人は、ぜひ読んでみてください。
前回のIFの話もそうですが、ルーデウスはどんな人生でも様々な問題に直面し、それを乗り越えていくことで、少しずつ「本気で生きる」ことの本質に近づいていくことでしょう。
パウロは無念の死に方をしましたし、ゼニスも決して今のような状況を望んでいたわけではないでしょうが、二人もまた、後悔からは程遠いでしょう。
それは、まったく後悔のない毎日を過ごしたからではなく、その時その時で真剣に考えて生きてきたからではないかなと思っています。
私自身も、そういう後悔のない人生を送れるといいなぁと思いつつ、日々を過ごしています。
ありがとうございました。
©理不尽な孫の手/KADOKAWA