『無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 12』読者アンケート
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『無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 12』

理不尽な孫の手先生 こぼれ話

 どうもご無沙汰しております、理不尽な孫の手です。
 無職転生も一二巻までやってまいりました。
 それもこれも皆様のお陰でございます。ありがとうございます。
 さて、一二巻、いかがだったでしょうか。まだ読んでいらっしゃらないという方は、こんなあとがきもどきなんか読んでいないで、先に読んできてください。私はネタバレしますので。

 この一二巻は私にとってとても思い入れの深いエピソードになります。
 二巻から続く転移事件に完全にケリが付く話で、無職転生全体のちょうど半分。とても区切りのいい話……というのもありますが、それとは別に。
 無職転生は『小説家になろう』というサイトにおいて、総合累計ランキング一位(2016年7月現在)を取らせて頂いております。とはいえ、もちろん一章を書き始めた瞬間から一位だったわけではありません。ランキング圏外から、少しずつランキングを登らせて頂きました。
 それでは一位になったのはいつなのか。
 というのが、まさに一二巻相当の話を書いていた時なのです。
 私は普段から、あまり数字というものを気にしないようにと努めています。数字を気にしだすと、数字の増減や、他者との比較ばかりに目が行き、その数字の中身……なろうのランキングポイントであれば、そのポイントを入れてくれた人はこの物語のどこを気に入ってくれたのか、どこを面白いと思い、どんな風に期待してくれているのか、といった本当に大切なものを見失ってしまうからです。
 私は創作というのは比べるものではないと思っています。もちろん、多くの作品を見比べて、どれが一番だと決める遊びが楽しいことは知っています。私もよくやります。しかしながら、あくまで読書というのは読者と作品が一対一で存在しているものだと思うのです。
 読者が作品を読みどう思ったのか、どこで興奮して、どこで冷めて、どこで考えさせられて、どこで無心になって、どこで息をついたのか。それが一番重要であって、その作品がどれだけ多くの人に好かれているかというのは、二の次だと思っているのです。
 書く側であっても、自分の物語がいかに他の作品より優れているかに思考をとられるより、自分の作品をいかに自分の理想に近づけていくか、どう書けば自分の面白いものが読者に伝わるか、そんな事を考える方がよっぽど重要だと思っているのです。
 と、そんなご立派な理論を普段から偉そうに口にしていた私ですが、流石に累計一位を取った時は興奮しました。
 一位を取った時は内容的にはなんてことのない、迷宮を探索している話だったのですが、その後の戦いや喪失、復活、エピローグでポイントは増加し、その後もずっと累計ランキング一位の座に座らせていただいております。
 まあ、過去の栄光です。いつまでも一位とかそういう数字を気にしていないで、次の話を書いた方がいいでしょう。

 さて、作品内容の話をしましょう。
 今回のお話は迷宮探索と、そして迷宮探索後の話の2パートがメインになっております。
 前半は……まあ特に語るべき所もないですね。普通の迷宮探索物語です。攻略本を頼りに迷宮の深部へと潜っていく。難所もあるけど、知恵と勇気で解決と。なろうで流行していた迷宮探索ものを無職転生でやったらどんな感じになるのか、という具合にうまいことまとまっていると思います。
 問題は後半。ヒュドラとの戦いで死んだパウロ、そして、立ち直れないほどに落ち込むルーデウス、そしてそんなルーデウスを立ち直らせるために体を張るロキシー、そして色々ともつれた結果……と。
 この結末に関しては、WEB版でも賛否両論となりました。
 未だに、「こうする必要は無かったんじゃないの?」と言われることもあります。
 私としても後になって、もっと上手に書けたかもしれない、と思った事はあります。
 現在、もし直すとしたら、それは可能でしょう。
 より心の痛くない方向へ、ルーデウスも落ち込みはすれども自力で立ち直り、ロキシーも慰めはすれども一線は超えず、互いに綺麗に大人な対応を見せて、綺麗な結末に……そんな風に改変することもできるでしょう。
 でも私はそれはやってはいけない事だと思います。
 ルーデウスの人生はWEBですでに書かれたのです。
 人生には選択があります。でも、選択の中に正解があるとは限りません。どっちを選んでも最悪な方向に進まざるを得ないこともあるかと思います。
 とはいえ、最悪な方向に進んだとしても、芽がまったく無いわけではないのです。自分の努力で、あるいは周囲の助けで、いくらでも立ち直ることは出来るのです。
 今回のルーデウスとロキシーの関係、そしてシルフィの選択は、そんな私の思想から来ています。
 なので、ほぼWEB版で賛否両論だった形のまま(細かい所は修正してありますが)、出させていただきました。
 もし今回の展開に納得できないとか、必要ないとか、一気にダメになったとか、もう続きは読まないとか、そういうことを思った方もいるかとは思います。
 そういう方に「今回はダメだったかもしれないけど、今後は面白くなるから続きを読んでくれ」と言うことは簡単ですが、言いません。
 ですがもし、人生において正解の存在しない出来事に直面したとき、あるいは誰かが直面しているとわかった時、今回のエピソードを思い出してもらえれば、幸いです。
 もしかすると、本当に悪い方向に転がる前に誰かに止めてもらう。あるいは誰かを止めてあげることができるかもしれません。
 少し説教臭くなってしまいましたが、今回のこぼれ話はこんな感じです。
 ありがとうございました。

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