──あれは、あなたの命を取る。
──あれは、危険なものです。
微かに三味線の音が響けば、それは怪異の始まり。
恐さと美しさと優しさに満ちた感動の物語。
『十二国記』シリーズの小野不由美 5年ぶりの単行本

『営繕かるかや怪異譚 その弐』小野不由美 カバーイラスト/漆原友紀(『蟲師』『水域』『猫が西向きゃ』)

『十二国記』シリーズの小野不由美 5年ぶりの単行本『営繕かるかや怪異譚 その弐』小野不由美 カバーイラスト/漆原友紀(『蟲師』『水域』『猫が西向きゃ』)

あらすじ

営繕屋は死者の声を聴き、修繕する。
人々の繋がる想いに涙する魂の物語。

両親と弟が鬼籍に入り、かつて花街だったという古い町並みにある町屋の実家に戻ってきた貴樹。貴樹が書斎として定めた部屋はかつて弟が使っていた部屋だった。何気なく、書棚に立てかけられた鏡をずらしてみると、柱と壁に深い隙間があった。そしてその向こうに芸妓のような三味線を抱えて座るはかなげな着物姿の人影が見えた。その女と弟の死には関係があるかもしれないと探すうちに、貴樹がその女を見ずにはいられなくなり……。(「芙蓉忌(ふようき)」より)

営繕かるかや怪異譚 その弐

営繕(えいぜん)かるかや怪異譚(かいいたん) その()

小野 不由美

定価:本体1,600円+税

発売日:2019年7月31日

小野不由美からのメッセージ

自分でもときどき、怖い話を書いているのか、懐かしく愛おしいものについて書いているのか、分からなくなります。自分にとっての怪談は、そういうものなのかもしれません。読者の皆さんにも、同じように感じていただけたら幸いです。

小野不由美

著者紹介

小野不由美

(おの・ふゆみ)

12月24日、大分県中津市生まれ。京都大学推理小説研究会に所属し、小説の作法を学ぶ。1988年作家デビュー。「悪霊」シリーズで人気を得る。91年『魔性の子』に続き、92年『月の影 影の海』を発表、「十二国記」シリーズとなる。十二国記と並行して執筆した『東亰異聞』『屍鬼』『黒祠の島』は、それぞれ伝奇、ホラー、ミステリとして高い評価を受けている。「悪霊」シリーズを大幅リライトし「ゴーストハント」として2010年〜11年刊行。12年、二作が相関関係にある『鬼談百景』と『残穢』を刊行し話題に。『残穢』は第26回山本周五郎賞を受賞。2019年秋には「十二国記」シリーズの新刊が発売予定。

お化け好きに贈るエンターテインメント・マガジン「怪と幽」で「営繕かるかや怪異譚」を連載中

怪と幽

絵解き

大好評につき、絵解き第2弾。

漆原友紀による『営繕かるかや怪異譚 その弐』カバーイラストを絵解きする。
カバーに描かれた、作品に登場するこの世のものではないもの、
怪異の発現するシーンを解説いたします。

この絵には怪しい物語が秘められている…… この絵には怪しい物語が秘められている……
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文=朝宮運河

推薦コメント

著名人の方からのコメント

  • 「水の声」や「まさくに」の怪異の恐ろしさは、一巻の収録作を上回り、いくら尾端でもどうしようもないのではと不安になるほど。でも、今回も、彼は誠実な仕事で、ちゃんと折り合いをつけてくれます。
    読んでいるときはぞっとしてドキドキして、読み終わったときにはほっとする。
    こんな怪談が読みたかったし、書きたかった。
    時代が変わってもきっと色褪せない、ずっと読み継がれていくであろう名作です。

    織守きょうや(小説家)

  • あり得ないほど怖いのに、確かな救いがある。この本を読了して最初にそう感じました。小野先生らしい、手触りや匂いすら感じられる筆致のホラー描写は、正直なところ泣き喚きたいくらいおそろしいです。それなのに読後感は不思議なほど爽やかで、いずれの結末にもすとんと胸に落ちる説得力がありました。怪異に遭遇した時、自分達とは相容れない存在としてそれを捉え、問題を退魔の力によって解決するというのが怖い話の定石かと思います。しかしこの物語では、怪異をある意味で「尊重」し、共存する道を探していくのです。同じ怪異を取り扱ったとしても、そこに来てくれるのが営繕屋の尾端さんでなかったとしたら全く違う物語になるのだろうなと思った時、『営繕かるかや怪異譚』という物語の特殊性と凄さに気付かされました。ホラーとして一級品でありながら、ホラーという一言では表しきれない、「読んで良かった」と素直に思える、本当にすばらしい物語です。

    阿部智里(小説家)

  • ああ、だから営繕なのだ、と腑に落ちた。
    血の連なりの中で生まれ、日々を暮らす。それは、一人一人の営みで家や物や土地に刻まれ、積み重ねられていったものと向き合うことに他ならない。
    意識するしないにかかわらず、否応なしに触れ続けているものが、時に「障る」。障れば、どうやっても意識せざるを得なくなっていく。
    けれど意識するというのは、単に恐れることだけではないのだ。不安を感じながらも惹かれ、離れなければと思いながらも、目が、耳が、つま先が向いてしまう。
    向き合うほどにその輪郭は濃くなり、日々の暮らしに染み上がってくる。だから繕う。木に刻まれた年輪や傷や歪みを読み取るように、積み重ねてこられたものを丁寧に読み取りながら。
    読みながら呼び起こされる感情は様々だ。懐かしさ、不安、寂しさ、やり切れなさ、恐怖、焦り、温かさ――そして、それらの感情は、作中で「障り」が解決しようとも、本を閉じようとも、完全に消えることはない。
    なぜなら、私たちは、自分もまた連なりの中で生まれ、積み重ねられたものの上で日々を暮らしていることを知っているからだ。
    それ・・が意識せずとも、そこに存在し続けていることを。

    芦沢央(小説家)

  • 心の底から恐ろしくて、恐ろしくて……。でも最後まで読むと癒やされるから不思議。日本人ならば誰にでも起こりえるかもしれない恐怖のものがたり。

    長江俊和(映画監督)

  • 時間軸もない空間軸もない中心のない虚構に、何故こんなにリアリティを感じ当然の如く取り込まれていくのか。ものさしのない世界。そもそもこれが自分たちのいる真の居場所なのかも。

    安里麻里(映画監督)

書店員の方からのコメント

  • 仄暗い隙間に、気配を感じる。
    いる、のに、いない。
    いない、のに、いる。
    小説を読んでいるだけなのに、耳はあるかなきかの音を拾い、背筋はそっと触れられたかのごとく泡立つ。臨場感というのとも違う、体感する怖さ。怖いの苦手なのに、一気読みでした。涼しい部屋なのに、汗びっしょりです。部屋の明かり、全灯で寝ます。

    平和書店TSUTAYAアルプラザ城陽店 奥田真弓

  • この世もあの世も関係ない。森羅万象、あらゆる存在にはひとつひとつに魂が宿っている。身近な尋常でないものへの畏れは、人を惑わせ背筋を凍らせれば、絆を深め心を癒すこともある。五感の全てを刺激され想像は無限にかき立てられ、怪異から生まれた情に涙する。読めば周囲の気配が色づいて新たな景色が見えてくるはず。これぞ“渾身”と言うのだろう。一字一句、一行一文に込められた想いが全身に染み渡り、決して読み飛ばせない。命を吹き込まれた珠玉の物語だ!

    三省堂書店有楽町店 内田剛

  • それぞれの短篇集がどきどきゾクゾクする空気を纏っていて、どんどん物語に吸い込まれていきました!!! 読み終わった後も、言葉で表現することが難しいのですが、この今までに見たことのない世界にしばし漂流してみたい気持ちになりました!!! さすが小野先生です!!!

    紀伊國屋書店福岡本店 宗岡敦子

  • 尾端くんにまた会えた!! というか5年前に、5年の月日がたったとは思えないくらい、ついこの間、尾端くんに会ったような丁寧で色褪せない営繕屋のお仕事。怖い、そして怖い!!しかしこの心地よいとさえいえるこの恐怖に身を任せ、また出会えたことに感謝します!!
    「芙蓉忌」では、尾端さんさえも、あやかしの一部となり、三味線の音色をかすかに感じて慄きながらも、最後の最後で兄弟の喜びさえも感じました。手紙、怖かったです。私も怖いと常に思っていた「とおりゃんせ」では「関守」が守ってっくれたことに安堵し、「まつとし聞かば」では、私の飼っていた大好きだった猫のミーちゃんも、無事にあの世にいってくれただろうかと願わずにはいられませんでした。「水の声」では、尾端さんの名推理ぶりの感嘆し、あえなく消えてしまうかもしてなかった愛の縁をつなぎとめてこれたことに涙しました。最後の章の「まさくに」さんいは、できたらイケメンな感じでお会いしたかったですが、つないでいく家族の愛のカタチをひしひしと感じました。

    書泉ブックタワー 江連聡美

好評既刊【文庫版】

営繕かるかや怪異譚

営繕(えいぜん)かるかや怪異譚(かいいたん)

角川文庫 好評発売中


叔母から受け継いだ町屋に一人暮らす祥子。まったく使わない奥座敷の襖が、何度閉めても、開いている。 (「奥庭より」) 古色蒼然とした武家屋敷。同居する母親は言った。「屋根裏に誰かいるのよ」(「屋根裏に」) ある雨の日、鈴の音とともに袋小路に佇んでいたのは、黒い和服の女。 あれも、いないひと?(「雨の鈴」) 田舎町の古い家に引っ越した真菜香は、見知らぬ老人が家の中のそこここにいるのを見掛けるようになった。 (「異形のひと」) ほか、「潮満ちの井戸」「檻の外」。人気絶頂の著者が、最も思い入れあるテーマに存分に腕をふるった、極上のエンターテインメント小説。 宮部みゆき氏、道尾秀介氏、中村義洋氏絶賛の、涙と恐怖と感動の、極上のエンターテインメント。

鬼談百景

鬼談(きだん)百景(ひゃっけい)

角川文庫 好評発売中


Yさんの学校に建つ、男女の生徒を象った銅像。宙を指差したその像の人差指はなぜか切り落とされていた───。銅像の周囲で悲惨な死や事故が相次ぐ「未来へ」、旧校舎の階段が異世界へと繋がる「増える階段」、大学の建物から飛び降りた男の凄まじい死にざまを描いた「マリオネット」など、読者の体験談をもとに描かれた怪談99話を収録。
ときにおぞましく、ときに哀しいエピソードの数々を、四季の移ろいとともに描いた百物語怪談集の決定版。
解説は稲川淳二氏。

小野不由美の
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