雨の日に鈴の音が鳴れば、それは怪異の始まり。
袋小路に佇む喪服姿の女を、決して家の中に入れてはいけない。
その女は「死の先触れ」だから   。(「雨の鈴」)
住居にまつわる様々な怪異や障りを、営繕屋・尾端おばなが、
いとも鮮やかに修繕する。
恐怖と感動の極上のエンターテイメント。
著者からのメッセージ
郷里中津のイメージを借りて、懐古的な匂いのする怪談を目指してみました。
古い建物や風景に漂うかげろいを漆原さんが素敵な絵にしてくださいました。
この絵のように、どこか不安だけれど惹かれてしまう   
「古いもの」にまつわる、そんな気分を思い出していただければ幸いです。

カバーイラスト = 漆原友紀(『蟲師』『水域』)

あらすじ 叔母から受け継いだ町屋に一人暮らす祥子。まったく使わない奥座敷の襖が、何度閉めても    開いている。
(「奥庭より」)
古色蒼然とした武家屋敷。同居する母親は言った。「屋根裏に誰かいるのよ」(「屋根裏に」)
ある雨の日、鈴の音とともに袋小路に佇んでいたのは、黒い和服の女。    あれも、いないひと?(「雨の鈴」)
田舎町の古い家に引っ越した真菜香は、見知らぬ老人が家の中のそこここにいるのを見掛けるようになった。
(「異形のひと」)

ほか、「潮満ちの井戸」「檻の外」。人気絶頂の著者が、最も思い入れあるテーマに存分に腕をふるった、極上のエンターテインメント小説が誕生しました。
  営繕かるかや怪異譚 カバー
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絵解き
漆原友紀(『蟲師』『水域』)によるイラストを大公開
   この絵には怪しい物語が秘められている……
絵解き&文=朝宮運河

 
 
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推薦コメント 著名人の方からのコメント
作中の雨が文字を濡らし、恐怖が文字を震わせる。
これも一つの怪異かもしれない。
    道尾秀介

古い日本家屋、袋小路、水路、河童の手……心ときめくものばかりの物語で、読後すでに絵のイメージは出来上がっていました。
恐ろしいものがそこここに潜んでいる、でも美しさも共存している古い家の奥へ奥へ、おそるおそる(少しワクワク)襖を開けて入ってゆくような。読みながら得たそんな感覚を絵に出来たら、と思いました。
そして、そんな家々の「障り」を、淡々と「繕う」事で治療してゆく尾端さん。素敵です。ただ、外見の描写がほぼ無かったので、描くのにはちょっと悩みました。読み手の方々のイメージの邪魔にならなければ幸いです。
    漆原友紀

怖い……。早く、早く来てくれ、かるかや!
そう念じながら読み進めていくこのワクワク感!
これは是非、「ホラーは苦手だ」「怖いのはちょっと……」という人に読んでもらいたいです。
    中村義洋(映画監督)

チリンと澄んだ鈴の音と雨音が重なる光景は
怖さと美しさが重なる光景でした。
    中条あやみ(モデル・女優)

日本的怪談の本質に肉迫する幽暗精緻な連作集。
    東雅夫(文芸評論家)

絆を大切にするというのは、実はこういうことなのだ。読後に、目が覚めたような気分でそう思う。
この作者にしかできない希(まれ)な技を目の当たりにした喜びを噛(か)みしめながら。
    宮部みゆき(作家)
[讀賣新聞 2015年1月4日付け書評より]



書店員の方からのコメント
古い家にある怪異、障り。どんどん近づいてくる正体のわからないもの。
正体がわからないものは背筋を凍らせる。
そんな正体のわからないものを追い出したりねじ伏せるのではなく、繕うというやりかたにはっとさせられた。
悲しい存在のこわいものたちと共存していく。
こわくてせつない物語たち。
尾端さんの過去が気になる…。
    紀伊國屋書店 横浜店 川俣めぐみ

この世こそ異界なのかもしれない。
生きていない者こそ感情的なのかもしれない。
個性と人間味あふれた不気味な存在との共生。
そこに天から降り、地から湧き上がるような温もりが感じられた。
恐怖を超越したこの作品は大いなる人間賛歌の物語でもある。
    三省堂書店 神保町本店 内田剛

早速、拝読させていただきましたが、これが、また!さすがは、小野先生、面白いです!!
ぜひ、シリーズものにしていただきたく、、続きが読みたくなりました!!
ひょうひょうとした、主人公の尾端さんがまたいいです!
もっと、尾端さん自身のことがしりたくてうずうずいたしました!!
それにしても、「お悔やみもうしあげます」の黒衣の女性は、だんだんとつのる恐怖がやはり怖かったです。そして最後の、母を慕って子がでてくるお話は、身につまされる思いがいたしました。当事者?の女性のように、子が安らいで逝ってくれるように思わずにはいられませんでした。
    書泉ブックタワー 秋葉原店 江連聡美

もし一番安心できるはずの場所が、不安や怖さを感じる場所になってしまったら……
読んでいる間、想像して隅や暗がり、扉の向こうが気になって何度も確認した。"いない"とは断言できない。そして私は怖がりである。だからかるかやに本当にいてほしい!! かるかやによって明かされる"怖い"の裏にある"哀しみ"にとても見方を変えてもらったから。
    SHIBUYA TSUTAYA 竹山涼子

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著者紹介 小野不由美 おの・ふゆみ
12月24日、大分県中津市生まれ。京都大学推理小説研究会に所属し、小説の作法を学ぶ。1988年作家デビュー。「悪霊」シリーズで人気を得る。91年『魔性の子』に続き、92年『月の影 影の海』を発表、「十二国記」シリーズとなる。十二国記と並行して執筆した『東亰異聞』『屍鬼』『黒祠の島』は、それぞれ伝奇、ホラー、ミステリとして高い評価を受けている。「悪霊」シリーズを大幅リライトし「ゴーストハント」として2010年〜11年刊行。12年、二作が相関関係にある『鬼談百景』と『残穢』を刊行し話題に。『残穢』は第26回山本周五郎賞を受賞。

日本唯一の怪談専門誌 幽 で「営繕かるかや怪異譚」を連載中。   怪談専門誌『幽』『Mei(冥)』オフィシャルサイト
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好評既刊
文庫版『鬼談百景』
Yさんの学校に建つ、男女の生徒を象った銅像。
宙を指差したその像の人差指はなぜか切り落とされていた   
銅像の周囲で悲惨な死や事故が相次ぐ「未来へ」、旧校舎の階段が異世界へと繋がる「増える階段」、大学の建物から飛び降りた男の凄まじい死にざまを描いた「マリオネット」など、読者の体験談をもとに描かれた怪談99話を収録。
ときにおぞましく、ときに哀しいエピソードの数々を、四季の移ろいとともに描いた百物語怪談集の決定版。
解説は稲川淳二氏。

小野不由美の既刊一覧
十二国記 残穢(ざんえ) 鬼談百景
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