ブックタイトル『少年陰陽師 現代編』 書き下ろしショート・ストーリー/第16回角川ビーンズ小説大賞『剣影に誓う未熟な革命 令嬢だって騎士になりたい!』『ローランシアの秘宝を継ぎし者 往け、世界はこの手の中に』

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『少年陰陽師 現代編』 書き下ろしショート・ストーリー/第16回角川ビーンズ小説大賞『剣影に誓う未熟な革命 令嬢だって騎士になりたい!』『ローランシアの秘宝を継ぎし者 往け、世界はこの手の中に』

- 6 -「はーい」後ろ手を振る紅蓮に返事をして、バケツに水を入れてきた昌浩は、雑巾を絞って道場のすみにしゃがむと勢いよく雑巾がぞうきんしぼけをはじめた。昌浩がなまけることはないのだが、一応監督として勾陣がその場に残っている。ばたばたと道場を往復する昌浩を眺めながら、勾陣はあの日の成親を思い出した。成親は、これまでほとんど見せたことのないような物騒な面持ちで滅多にないほど苛立って、静かに激しく怒りまくってめつたいらだいた。わざわざ帰ってきて神将たちに相手をさせたのは、遠慮なく感情を爆発させたかったからだ。何しろ物心つく前から神将たちに鍛えられているので、人間相手に本気になると相手の息の根を止めかねない。きた体を鍛えると同時に感情のコントロールも身につけているはずの成親がここまで激怒した理由はただひとつ。司法試験に受かったタイミングで恋人である竹藤篤子の家族に正式に結婚の申し込みをしに伺ったところ、最高権力者でたけふじすみこある大刀自からけんもほろろの扱いを受け、あまつさえ篤子の見合い話を叩きつけられたのだ。おおとじ