ブックタイトル『少年陰陽師 現代編』 書き下ろしショート・ストーリー/第16回角川ビーンズ小説大賞『剣影に誓う未熟な革命 令嬢だって騎士になりたい!』『ローランシアの秘宝を継ぎし者 往け、世界はこの手の中に』

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概要

『少年陰陽師 現代編』 書き下ろしショート・ストーリー/第16回角川ビーンズ小説大賞『剣影に誓う未熟な革命 令嬢だって騎士になりたい!』『ローランシアの秘宝を継ぎし者 往け、世界はこの手の中に』

- 34 -「だから無駄だって言ってんのに......」むだイーディスは溜息まじりに言う。「ま、いいや。証拠を見せてやるよ」しようこ彼が手を叩くと、扉の陰から両手足を鎖に?がれた少年が姿を現した。眼鏡をかけた知的な眼差しは、アルメリアの瞳とつな同じように蒼く澄んでいる。その瞬間、アルメリアは動いていた。「何......っ!?」ベオが驚愕の声を上げた。それもそのはず、アルメリアは喉元に水平に押し当てられていた剣をつかんで回転させ、あろきようがくのどもとうことか自分の首ごと背後のベオの肩を刺したのだ。勢いに任せて一切手加減しなかったため、アルメリアの指と首筋からいつさいは血が噴き出していた。ベオがあと少し剣を引くのが遅ければ、彼は重傷を負い、アルメリア自身の首も太い動脈をえぐられていたことだろう。刹那に生じた機会をとらえ、アルメリアは弟に向かって突進した。だが、すぐに体が動かなくなる。目だけを動かして見せつなると、ベオが《まじない》を使ったらしく、右の手のひらを強く握りしめている。「くっ......」