概要
『少年陰陽師 現代編』 書き下ろしショート・ストーリー/第16回角川ビーンズ小説大賞『剣影に誓う未熟な革命 令嬢だって騎士になりたい!』『ローランシアの秘宝を継ぎし者 往け、世界はこの手の中に』
- 30 -「イーディス・クラウン。二十五歳。この国唯一の商業組合であるガリア商会の会長。表向きは農作物から工芸品まで手広ゆいいつく売買を行う商人。でも裏の顔は、国内最大の民間軍事組織『ゴッドアイ』の総領。依頼に応じて派遣する用心棒という名そうりよう目で養成した武装構成員を各所に配置し、国内の金の流れを監視・統制している」かんし淀みない台詞を聞きながら、イーディスは余裕の表情を崩さず口の端を吊り上げている。よどセリフつだが、アルメリアの次の発言が波紋を引き起こした。はもん「『ゴッドアイ』はもともと、為政者の専横に対抗するため結成された自治組織。七年前、先代総領であるヴォルチェ・クラいせいしやせんおうウンが創始し、他の自警団の吸収合併により拡大。三年前、先代と、跡継ぎと目されていた彼の実子が死去。そして、がつぺい血の?がらない息子であるあなたが総領の座についた」・・・・・・・・・イーディスの顔色が変わったのを見て、アルメリアはすかさずその顎めがけて頭突きを食らわせた。思わずイーディスがずつ体勢を崩し、力が緩む。その隙に腕を解いて駆け出したが、すぐ金縛りにあったように全身の自由を奪われた。凄まじい力に上下左右から圧迫さほどれ、呼吸すらできずに立ち尽くす。背後から近づいてきた従者に羽交い締めにされ、首筋に剣を押し当てられる。はがじ「それ以上喋れば殺す」