ブックタイトル『少年陰陽師 現代編』 書き下ろしショート・ストーリー/第16回角川ビーンズ小説大賞『剣影に誓う未熟な革命 令嬢だって騎士になりたい!』『ローランシアの秘宝を継ぎし者 往け、世界はこの手の中に』

ページ
26/40

このページは 『少年陰陽師 現代編』 書き下ろしショート・ストーリー/第16回角川ビーンズ小説大賞『剣影に誓う未熟な革命 令嬢だって騎士になりたい!』『ローランシアの秘宝を継ぎし者 往け、世界はこの手の中に』 の電子ブックに掲載されている26ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

『少年陰陽師 現代編』 書き下ろしショート・ストーリー/第16回角川ビーンズ小説大賞『剣影に誓う未熟な革命 令嬢だって騎士になりたい!』『ローランシアの秘宝を継ぎし者 往け、世界はこの手の中に』

- 26 -肉づきのよい体を揺らし、胸を張って答える。ゆ「あたしゃ清掃係のメイドです。掃除をするのが仕事です」せいそうそうじ「こんな夜中に?熱心だな」からかうようにイーディスが言い、緩く一つに結った黒髪が揺れた。ゆるゆ時刻は真夜中。屋敷の者は皆寝静まり、風にそよぐ木々のざわめきだけが聞こえてくる。みなここは屋敷の東塔だ。母屋と塔を?ぐ渡り廊下は鉄柵で堅く閉ざされ、螺旋階段の上の宝物庫には侵入者除けの魔法陣がおもやてつさくらせんまほうじん敷かれていた。それが今ようやく張り巡らされた罠を無効化し、宝物庫の鍵を開き、目の前には山と積まれた金貨が光っている。あともめぐかぎう少しというところまで来ているのだ。ここで引き下がるわけにはいかない。懐に手を入れるのと、従者がナイフを投げつけてきたのは同時だった。首を軽く傾けることでナイフをかわし、懐から出した小さな球体を床に叩きつけた。たちまち黒い煙が立ち上り、視界が遮られる。「煙幕......!」えんまく従者は舌打ちした。