ブックタイトル『双花斎宮料理帖』書き下ろしショート・ストーリー/【試し読み】第16回角川ビーンズ大賞《優秀賞》&《読者賞》受賞作『魔法卿城の優しい嘘銀の執事と緋の名前』

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『双花斎宮料理帖』書き下ろしショート・ストーリー/【試し読み】第16回角川ビーンズ大賞《優秀賞》&《読者賞》受賞作『魔法卿城の優しい嘘銀の執事と緋の名前』

- 20 -「また会う?今さら逃げられるわけがないだろ。早く剣を捨てろ」青年は剣先を更に侵入者の首筋に近づける、それなのに、侵入者は余裕のある笑顔を見せた。「追い詰めた気になってる所悪いが、俺は魔法持ちでね。一瞬で遠くに移動できるんだよ」まほうも青年の顔に焦りが走る。侵入者はそっと一歩だけ退くと優雅な礼をした。「俺の名はサルヴァトーレ。忘れるなよ。またすぐ会うことになるからな」青い炎が侵入者の足元から舐めるように這い上がり、彼の姿が?き消えた。ふわっと、空気が動いた感触が?を掠める。「......瞬間移動の魔法使いじゃないか初めて見たよ!すごい、次はいつ来てくれるんだろうね!」!!眼鏡の男性は一人ではしゃいでいる。見たところみんな怪我もなく、物も盗られていない。しかし、逃げられてしまった。「くそっ」青年は口惜しそうに顔を歪め、悪態をつく。少女も同じような気分だった。侵入者が派手な服装であることを、もう少し深く考えるべきだった。特徴を覚えられ、追っ手をかけられたとしても捕まらない自信があるからこそ、サルヴァトーレはあの服装で、迎え撃つ相手と会話までしていたのだ。