ブックタイトル『双花斎宮料理帖』書き下ろしショート・ストーリー/【試し読み】第16回角川ビーンズ大賞《優秀賞》&《読者賞》受賞作『魔法卿城の優しい嘘銀の執事と緋の名前』

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『双花斎宮料理帖』書き下ろしショート・ストーリー/【試し読み】第16回角川ビーンズ大賞《優秀賞》&《読者賞》受賞作『魔法卿城の優しい嘘銀の執事と緋の名前』

- 10 -(斎宮様。和国から輿入れした雪理美はいなくなりましたが、崑国の雪理美が、斎宮様にお目にかかれる日があるかもしれません)それはずっと先のことだろうが、それでもそれを約束してくれた祥飛の気持ちが嬉しい。(真佐智はそのときまで、美味宮を勤めているかしら?もし勤めていたら素晴らしい美味宮になっているだろうなぁ)女の子のような容貌で、姫さん呼ばわりされていた少年だったが、彼には幼いながら自ら道を切り拓こうとする逞しさがようぼうひらあった。彼の資質が研磨されていけば、宝珠のように美しい人になりそうだ。芯が通ってしなやかで、ほっそりと美しいのけんましんに冴えた強さのある男性。そんな人になってくれていたら良いと思う。(わたしも故郷に恥じないように生きなくてはならないのね、きっと)は決意して海を渡り、居場所を見つけた。見つけた居場所で、精一杯生きようと思う。わたしは海を渡って良かったと、海の向こうの人たちに笑って言えるように。