ブックタイトル『告白予行練習 僕が名前を呼ぶ日』書き下ろしショート・ストーリー/【試し読み】『5分後にキミのひと言ではじまる恋』
- ページ
- 9/32
このページは 『告白予行練習 僕が名前を呼ぶ日』書き下ろしショート・ストーリー/【試し読み】『5分後にキミのひと言ではじまる恋』 の電子ブックに掲載されている9ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは 『告白予行練習 僕が名前を呼ぶ日』書き下ろしショート・ストーリー/【試し読み】『5分後にキミのひと言ではじまる恋』 の電子ブックに掲載されている9ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
『告白予行練習 僕が名前を呼ぶ日』書き下ろしショート・ストーリー/【試し読み】『5分後にキミのひと言ではじまる恋』
- 9 -《オレンジ色のキミ》あやちょこカリカリと数字を刻む、キミのそのシャープペンシル。製図メーカーの3000円もするスタイリッシュな冷たいアルミ製。長い指に桜貝みたいなキレイな爪、ちょっとゆるめたネクタイとボタン2つぶん開けたワイシャツの胸元、時おり波打つ喉仏。長い睫毛、薄いくちびる、やわらかそうな髪。放課後のこの時間、図書館はオレンジ色に染まるから、私の中でキミの色はオレンジに決まっていた。たった45分間のオレンジ色の時間。長い睫毛が下を向いている時だけ、私はキミを盗み見る。キミと私は一度も同じクラスになった事がない。この3年間、たった一度も。時おり行くキミのクラスは男女仲が良くて、いつもみんな楽しげだった。でも、キミはよく一人でヘッドフォンをして外を眺めていた。話を振られれば耳につけたそれを外して、一言二言。