ブックタイトル『告白予行練習 僕が名前を呼ぶ日』書き下ろしショート・ストーリー/【試し読み】『5分後にキミのひと言ではじまる恋』
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『告白予行練習 僕が名前を呼ぶ日』書き下ろしショート・ストーリー/【試し読み】『5分後にキミのひと言ではじまる恋』
- 26 -「知ってたんでしょ!?翔吾にぃに彼女がいたこと。振られてみじめな私が可哀そうだとでも思った?ひとりでずっと浮かれて片思いし続けて、バカみたいだって思ってたんでしょ?」最悪だ。振られたやつあたりを、助けてくれた航太にするなんて。でも胸が痛くて苦しくて、思いを吐き出さなきゃいられなかった。待ちに待ったスイート・シックスティーンなのに、イイことなんてひとつもない。これじゃビターだ。ビターでブラックなシックスティーンじゃないか。「......じゃあお前はさ」鼻の奥がつんとして、また涙があふれそうになったとき、航太が口を開いた。「俺が『翔吾にぃに彼女ができた』って教えてたら、『はいそうですか』って兄貴のこと、どうでもよくなったワケ?」「......それは」「そんなもんだったん?お前の『好き』って」「そ、そんなワケないでしょ!?」涙はスッと引っこんで、頭にカッと血が上った。「ずっと、ずっと好きだったんだから!はじめて会ったときから、もう10年も!そんな簡単に変わるワケないじゃん!!人の気持ちも知らないで、なんでそんなこと言うのよ!」