ブックタイトル『告白予行練習 僕が名前を呼ぶ日』書き下ろしショート・ストーリー/【試し読み】『5分後にキミのひと言ではじまる恋』

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概要

『告白予行練習 僕が名前を呼ぶ日』書き下ろしショート・ストーリー/【試し読み】『5分後にキミのひと言ではじまる恋』

- 24 -「スイート・シックスティーンだ」なんて浮かれていた私の誕生日に、翔吾にぃは彼女と『交際して3か月』の記念日を祝っていた。私のことなんて、1ミリも思い出さずに。哀しくてみじめで情けなくて、気がつけば目から涙があふれだしていた。「......あ」ぽろぽろとこぼれた涙のしずくがスマホ画面を濡らして、私はあわてて手のひらで画面をぬぐった。すると。「やばっ」おかしなところをタップしてしまったようで、なにやら動画が再生され、大音量で教室中に激しい音楽を響き渡らせてしまった。「こら!誰だ!校内ではケータイは使用禁止だろう!」電源をオフにしても時すでに遅し。担任でもある国語教師の鎌田先生、通称・ゴジラが肩をいからせてこちらへ向かってくる。あーもう最悪だ。自業自得とはいえ、失恋してズタボロの私にさらなる試練を与えようだなんて。うつむいたまま、ゴジラの怒りのビームを浴びようと観念した時、思わぬ声が私のとなりからあがった。「俺でーす!すんません!プロレスの動画見てたら、音出ちゃいましたー」立ち上がって、スマホを手にかかげているのは、となりの席の航太だった。