ブックタイトル『告白予行練習 僕が名前を呼ぶ日』書き下ろしショート・ストーリー/【試し読み】『5分後にキミのひと言ではじまる恋』
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『告白予行練習 僕が名前を呼ぶ日』書き下ろしショート・ストーリー/【試し読み】『5分後にキミのひと言ではじまる恋』
- 15 -私はドキドキしたまま数学のノートを睨みつける。そうでもしないと、嬉しくて顔がとけだすと思ったから。それに、良かったと飛び上がりたくなる気持ちを抑えたかった。変なやつだとキミに思われたくない。やっと近寄れた斜め向かいの席だから。時間が来てキミが立ち上がるまで、私はいつもよりずっとドキドキしていた。でも、キミは相変わらず何でもないように片づけをして、バス停に向かって図書館を後にした。***毎日毎日、決まった席で勉強を45分。意気地なしの私の至福の時間。オレンジ色の時間は短くなり、最近は図書館の明かりが灯って味気ない。冬になり、年が暮れようとしていた。もうすぐ冬休み。