ブックタイトル『告白予行練習 僕が名前を呼ぶ日』書き下ろしショート・ストーリー/【試し読み】『5分後にキミのひと言ではじまる恋』
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『告白予行練習 僕が名前を呼ぶ日』書き下ろしショート・ストーリー/【試し読み】『5分後にキミのひと言ではじまる恋』
- 14 -集中なんてできないけれど、私も数学の教科書とノートを開く。そして、一応問題を解いてみたりする。キミは長い指でそのスタイリッシュなシャープペンシルをくるんと回転させる。そんな時、私の気持ちもキミの手のひらで踊っている。あまりに浮かれていて恥ずかしくなり、気持ちを引き締めてノートに向かうと、コロコロと角がなくなり丸くなった黒色の消しゴムが私のノートにぶつかった。それを捕まえて顔を上げると、キミと目が合う。「悪い、投げていいよ」キミはオレンジ色に染まった頭を振って、よく見えるように目にかかっていた髪を散らして退けた。私は頷いて消しゴムをポンッと放った。放物線を描いた消しゴムがキミの手のひらに包まれた。「どうも」キミはそう言って、もう一言なにか言いたげに私を見つめていたけれど、また下を向いてノートに視線を戻す。この時がオレンジ色で良かった。私の顔がきっと赤くても、キミにはオレンジにしか見えなかっただろうから。